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2007/11/11

「枯葉」

前回の最後に書いたように、今回はjazzのお話です。

枯葉-Autumn Leavesはもとは、ジョセフ・コスマ作曲ジャック・プレヴェール作詞のシャンソンの名曲です。映画に使われ世界的なヒットになり、英語の詩もつけられています。jazzのレコードのクレジットをみると先の2人のフランス人の他にジョニー・マーサーという英語の作詞者の名前も出ています。

この曲のjazzの名演として有名なのが写真の2枚です。左側はキャノンボール・アダレイの「Somethin' Else」、右はビル・エバンスの「Portlait in Jazz」です。

「Somethin' Else」の方は真っ黒いジャケットにメンバーの名前が書いてあります。キャノンボール・アダレイはアルトサックス、マイルス・デイビスのトランペット、ハンク・ジョーンズのピアノ、サム・ジョーンズのベース、アート・ブレイキーのドラムスです。マイルス・デイビスの枯葉というと普通このレコードを指します。ピアノ以下の3人をリズムセクションと言ったりしますが、管楽器の入った構成の演奏ではおそらくこれがもっとも有名です。ハンク・ジョーンズ以外の4人のメンバーはすでに亡くなっています。このレコードが録音されたのは1958年の3月ですから無理もありません。ミュートをつけたマイルス・デイビスのトランペットは「枯葉」の曲調とマッチしており、ソロもこの曲のムードにあわせたもので素晴らしいとしか言いようがありません。49年前のこの演奏が未だに最優秀でしかも演奏自体を良いオーディオ装置を使えば、演奏者が目の前に居て演奏しているように聞けるところがJazzの面白さです。クラシックの大作曲家達は皆名演奏家だったようですが、20世紀まで生きたラフマニノフなどのわずかな例しか実際の演奏の音源は残っていません。

ビルエバンスの方は、ピアノ、ベース、ドラムスの構成のピアノ・トリオの演奏で、このスタイルの演奏ではこれももっとも有名なアルバムです。実は、私はこの枯葉は個人的にはあまり好みではありません。
この2枚とも、「Jazz決定版・100」とか「Jazz定番...」などという本をみると必ず載っています。この日誌を更新する前に、仙台のCDショップにあるかどうか、確かめに行ったのですが、「Somethin' Else」の方はHMVや新星堂に無くJazzやRock専門のDISK NOTEという店があるのですが、そこにも無くて、がっかりしました。秋葉原の石丸電気のソフト館やお茶の水のDiskUnionには新品が無くとも、中古のコーナーには必ずあります。仙台からだと楽天やヤフーなどのネットショッピングでも容易に探せますのでこちらの方が便利かもしれません。

枯葉の名盤といわれるものは、沢山あります。私のレコード・CD棚を探してみると、まず管入りのものでは

チェット・ベイカーの「枯葉」(トランペット)
ベニー・ゴルソンの「Gone with Golson」(テナーサックス)
キャノンボール・アダレイの「Great Love Themes」
(これはキャノンボールの弟のナット・アダレイがコルネットでマイルスデイビスそっくりに演奏するバックにストリングスが入ったレコードです。)
バディ・デフランコの「枯葉」(これはクラリネットの演奏で哀しげな音色が何ともいえない演奏です。)
など

ピアノトリオでは
ウィントン・ケリーの「枯葉」(これも有名です)
マッコイ・タイナーの「Today and Tommorrow」
アーマッド・ジャマルの「Portfolio of Ahmad Jamal](アレンジがSomethin' Elseの演奏のもとになったといわれています)
エロール・ガーナーの「Concert by the Sea」(これも有名)
ミッシェル・ペトルチアーニの「Conference de Presse」(これはオルガンとピアノのデュオの演奏です)
など

歌では
メル・トーメの「At the Crescendo」がフランス語の原詩でアコーディオンをバックに歌っています。
サラ・ヴォーンの「枯葉」も有名ですが、これは全編スキャットで「ダバダバ...」とアップテンポでやっていて個人的にはあまり好きではありません。
日本人歌手の笠井紀美子さんが「This is my love」というレコードで歌っていてこれが個人的にはよく聞く歌ものです。

他にも90年代以降の沢山のピアノトリオの人たちも結構この曲を取り上げていますし、マイルス・デイビスにも他にも何種類かのバージョンがあります。

僕の個人的な好みも書きましたが、この中ではやはり、管楽器入りのものでは「Somethin' Else」をおすすめします。現在では入手が難しいかもしれませんが、バディ・デフランコのクラリネットのレコードも良いです(CDにもなっています)。ピアノ・トリオではマッコイ・タイナーのものとアーマッド・ジャマルのものが面白くおすすめです。



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