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2008/06/30

”国益”を考える

アメリカが北朝鮮をテロ支援国家の指定解除に踏み切るというニュースを聞いて、皆さんはどう思うでしょうか?

昨年秋、安倍総理が辞任し、福田現内閣の最初の課題は期限切れになりそうな、テロ対策特措法を延長して、インド洋でのアメリカ等のテロとの戦いに参加している艦船に給油を行うという行為を続けることでした。このときの議論に”国益”という言葉がよく使われました。よく使ったのは、自民、公明の与党側でしたが、民主党の前原副代表も同じ言葉を使っていました。テロ対策特措法が民主党の反対で、期限切れになった場合、民主党は”国益”を損なったという立場になり、早期の衆議院解散>総選挙となった場合国民の支持を失い、選挙に不利になるのではというのが、前原氏の意見だったと思います。
今となってみるとアメリカの支持のために膨大な労力、費用を使って有効とも思えない”テロとの戦い”を支援することが、果たして日本国民の利益=国益となったのでしょうか?テロとの戦い支援への疑問は昨年秋にもこの日誌に書きました。北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、明らかに日本の国民の安全を脅かす行為であって、テロ対策特措法は昨年秋の時点にさかのぼって改めて廃止し、給油活動は即時にやめるべきというのが私に意見です。
何故、民主党の中からこのような意見が出てこないのか、不思議でなりません。それが日本の政治家達の能力といってしまえば、それで終わりなのかもしれませんが。
最近の与党側の選挙での負けっぷりにも注目しています。中でも4月末の山口2区の衆議院補選は多くの保守系の政権担当者を出してきた保守王国での大差の敗北でしたが、選挙に負けようが我々は正しい政策を推し進めるというようなコメントが多く、あきれています。あたかも、”愚民”に我々の正しい政策を施してやるのだという、思い上がりも甚だしい態度と思います。小泉時代の選挙での圧勝がそういう態度を生んだのかもしれませんが、サッチャー時代経済の立て直しで、改革を行ったイギリスの保守党は、医療崩壊などでしばらくは政権につけないだろうと思いますが、今のままだと日本の現政権も同じ道をたどるのではと思います。
現状の世界では、国際競争力で日本よりも上位にいるのは、フィンランド、デンマーク、スエーデンなどの北欧の高度福祉国家が多くを占めています。規制緩和、自由競争、成果主義は結局は何も生み出さないのではないかという議論が日本でもされるようになってきています。小泉改革支持派の経済学者(竹中平蔵を代表とする)達は現状の社会格差の拡大(拡大そのものも最初は否定していました)を景気の低迷のためで、景気が好転すれば何もしなくとも改善すると考えているようですが、とてもそうは思えない今日この頃です。やってほしかったのはお役所の中だけの”小泉”改革だったような気がします。



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